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立派な塀に囲まれた道。塀の一部には繊細な細工の施された鉄格子がはめられている。
その鉄格子から大きな建物が見えた。
世間一般で言う、豪邸というものだ。
そこに場違いな大小の2つの影。
「…オジサンは…聖霊使イ?」
「はいはーい。オジサンはやめてね~。せめて名前呼ぶか、お兄さんって言って。オジサンもう32だけど」
あ、自分でオジサンとか言っちゃった。などとおちゃらけるフランクに対し、ノーアはいぶかしげな表情のまま、ピクリとも動かさない。
「…いや、実はオジサン聖霊使えないんだ…」
ノーアの無表情ぶりに少し寂しさを感じ、勢いが弱まる。
ちなみに風の聖霊は、フランクに頼まれて豪邸の方に飛んで行っている。
「でも聖霊使イじゃナいと、聖霊は見れナいんじゃナイの?」
前に売り場(奴隷市)に来た聖霊使いはそう言っていた。ノーアは好奇に満ちた目でフランクを見つめた。
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