桜色思念隠し

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「……わかった」 「へ?何が?」 突然の私の発言に首をかしげる有澄。私は腰に手を当て彼女を見つめた。 「私は接着剤になる」 「………………は?」 有澄はきょとーんと目が点。 何かいつもと立場が逆転していて面白い。 そんな彼女に歩み寄りながら言う。 「私が接着剤になる、だから」 有澄は桜が寂しいと言う。 散ってしまうのが寂しいと言う。 でも有澄は桜の様に皆に愛でてもらうべきだ。 こんなにいい子なのに誰にも思ってもらえないなんて、あってはいけない。 桜が散って寂しいのなら 私が接着剤になって 桜の花びらを枝にくっつけてやる そうすれば散らない ずっと散らないまま いつかは枯れてしまうけど それは全ての物がそう 葉桜だっていつかは枯れる 同じ、朽ちゆく存在ならば せめて綺麗で、皆に愛されて朽ちてほしい だから私が接着剤になる だから だから………… 「だからあんたは桜になるの。 桜になって、笑ってなさい!」 舞い散る花びらで誤魔化すんじゃなくて 満開の桜の様に 心の奥底から笑ってなさいよ 「……接着剤じゃなくていいよ!」 「あんた、私の好意を踏み躙る気?」 「えっあっ!いや、そういう意味じゃなくて! 私が桜なら美帆は葉桜でいいよ」 「……花が無くて悪かったわねぇ」 「だぁぁああ!だからそうじゃなくて!!」 有澄は頭を抱えて悩みだす。 私は自然に笑みをこぼした。 こういう単純なところもまた可愛い。 ……これがありのままの有澄なのかはわからないけれど。 しばらくうんうん悩んで考えがまとまったらしく、パアッと顔をあげた。 「桜が散ったら葉桜になるでしょ? 散るのは寂しいし、見ている人達も寂しいかもしれないけど、 美帆が葉桜なら、散った後で美帆に会えるじゃん! だったら散るのも寂しくないし!美帆な葉桜だったらきっと素敵な葉桜だから、見ている人も喜ぶよ!!」 ………なんじゃそりゃ。
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