桜色思念隠し

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有澄は満足そうに笑っている。 私に会えるなら寂しくない? 何よ、それ。 人のことだけじゃなくて ちゃんと自分のことも考えられるんじゃない。 「……葉桜見て何が楽しいのよ」 「うーん、私は楽しい! 美帆なら何でも楽しい!」 「それじゃあ別に葉桜じゃなくてもいいじゃない」 「……………あーそうだね」 そう、それでいい。 あんたはちゃんと自分の気持ちを出しなさい。 有澄が桜なら私は葉桜になるし 有澄が葉桜になるのなら、私は風になってやる 桜の花びらなんか一瞬で全部吹き飛ばして、周りの奴らに桜の思い出なんか残してやらない 私がすぐに葉桜にしてあげる 有澄が桜に見劣らないように 有澄にすぐに会えるように 有澄が何になったって 私はちゃんと見ててあげる なんとなく有澄を見ると丁度ぱっちり目が合って、彼女はパアッと笑った。 有澄の笑顔はこの桜並木のどの桜よりも印象的だった。 .
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