不思議な夢の帽子屋

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「……――――――っ!」 何かから逃れるように飛び起きる。 自分にしては珍しく動揺していた。嫌な汗をかいていて、気持ち悪い。 部屋の中はまだ暗い。 カーテンから光が差し込んでいないあたり、まだ夜が明けていないのだろう。 時計は4時をさしている。 今日の目覚めは決していいものとは言えなかった。 少しだけ乱れた呼吸を整えようと、軽く深呼吸してから頭を抱えた。 頭の中がぐるぐると渦巻いているよう。全く不快でしかたがない。 あの夢を見たのはいつ以来だろうか。 最近は見ることがめっきり少なくなり、その夢に頭を抱えることも減っていたのだが。 忘れるはずもない夢 繰り返し映っては私を縛る まるで私を責めるかのように 何度も何度も現れる夢、あの日の欠片 ……うざったい 静かな部屋に重々しいため息がもれた。
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