一話 告白~愛と恋と罪~

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 彼は迷っていた。  自分から話を切り出すベキだと言うのは頭の中では理解している。しかし、いざとなると、気恥ずかしくて、思わず目線を逸らしてしまう。 「……俺、ダメだなぁ」  彼はそう、窓の外を見ながら独り呟いた。  彼女に自分の想いを告げねばならない筈なのに、その勇気がいまいち湧かなかった。  彼女は勇気を振り絞って、自分に想いを告白したと言うのに……だ。  それに比べて自分ときたら……、彼はそんな事を考え、ため息をつく。 「よぉ、富永。一人なにため息なんてついてんだ?」  彼に友達が話しかけて来る。 「うわっ、出た。空気を読まない男」 「誰が“空気を読まない男”だ!」  その友達の様子に、彼は乾いた笑いを送る。 「良いよな、乾は。相変わらず悩みなんて無さそうで」 「そいつはどういう意味だっ! まるで俺が何も考え無しに生きているみたいじゃないかっ!」 「……何を今さら」 「お前の俺に対する第一印象が分かった気がするぞ!」  そんなお笑い芸人のコントみたいな真似をして、二人は一頻り笑い合うと、友達は少し、真面目な顔をして、彼に聞いてきた。 「なぁ、富永。なんか悩みがあるなら、相談してみろよ?」
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