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学校の校舎裏……。
其所は、人目に着かずに何かを成すには持ってこいの場所である。
不良の溜まり場にも成り得るし、イジメの現場にも成り得る其所で、行われる行為の一つにそれはあった。
告白である。
好きな異性に対する想いを、他者に見られる事無く、聞かれる事も無く、告白するのに、其所は最適な場所であった。
今日もまた一人。
胸の張り裂けそうな緊張、そしてその場から逃げ出したい恥ずかしさのようなモノを胸に秘めた乙女が、意中の男を待っている。
何度も頭の中でシチュエーションをイメージし、何度も台詞を練習し、何度も……成功する事を願った『告白』。
彼女はその人を、一人待っていた。
「重富さん」
待っていた人から声がかかり、心臓が大きく動く。
「ごめん、待った? 生徒会の仕事がなかなか終わらなくってね」
「い、いや、別に気にしてないよ?」
自分でも、声が上擦っているのが分かる。
今から相手に想いを伝える……それだけの事なのに、緊張と不安で胸が一杯だった。
「……? 大丈夫? 重富さん。顔が真っ赤だよ?」
彼に指摘された通り、彼女の顔は赤かった。
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