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「だだだだ、大丈夫だよ!」
慌てて否定する。そして、彼女は大きく深呼吸をする。
「……?」
彼は、いまいち状況が掴めて居ないのか、敢えて空気を読まないのか……。困惑の表情を浮かべていた。
「あ、あのね、富永くん」
彼女は、そんな彼の様子など頭に入る筈も無く、何回も復唱した『告白』を頭に想い浮かべ、言葉にする。
「……す、好きです! つ、付き合って下さい!」
その言葉と同時に、ラブレターを彼に押し付ける。
彼は突然の出来事に、脳内処理が追いついて居ないのか、呆然としていた。
彼女は、恥ずかしさから、そのままその場から逃げ出す。
「……あ、待って! 重富さん!」
彼は呼び止めようとするも、彼女の耳には入らなかったようである。
彼の返答を聞く事も無く、彼女はその場から居なくなってしまった。
「……重富さん……」
彼は押し付けられたラブレターを見る。
綺麗な封に収められたその手紙は、彼女の今の気持ちを認めた物であった。(認める=シタタメル)
彼は今、起こった出来事を思い返して真っ赤になる。
「ま……マジかよ……」
初めて告白され、初めて貰ったラブレター。夢ではないかと一瞬思ってしまう。
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