32人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、それでその、胸の高鳴りは抑えられそうになかった。
彼は、勉強机に座り、手紙を机の上に置く。
「……俺がまさか、『告白』されるなんて……。俺なんかの何処が良いんだろう……?」
彼はそう言って、ため息をつく。そして、手紙を再び手に取り、普段とは違い、丁寧に封を開ける。
「……まさかドッキリでした、みたいなオチだったりして……」
彼は自嘲ぎみに笑いながら、恐る恐る、手紙に目を通した。
其処には、彼女の彼への想いが、手書きで綴られていた。
出来るだけ丁寧な字にしようと努力したのか、幾つかに何度も書き直した跡がある。
そして、文末は少し、ほんの少し文字が震えていた。
その文の一文一文に、彼への想いが込められており、彼は違った意味での衝撃を受ける。
携帯電話が普及したこの世の中。
手紙と言うのは、非常にアナログ式な方法である。
しかし、デジタルなメールなどとは違い、一字一句に想いが込められる。
それが手紙の『告白』。
それがラブレターであった。
彼は内容を読み終わり、ため息をひとつつく。
「……はぁ。どうしよう。明日から、きっとまともに重富さんの顔を見れないぞ……。変に意識しちゃって……」
最初のコメントを投稿しよう!