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彼の顔は赤い。
彼は、彼女に答えを出さねばならなかった。
断るも受けるも彼の自由意思である。しかし、答える事は、『告白』された側の義務であった。
「本当に、俺なんかで良いんだろうか? 俺以外にも、彼女にぴったりな男がいる筈なのに……」
彼は悩む。
彼女の真剣で、紳士な想いが通じたからこそ、彼は真剣に悩まざるを得なかった。
それが、『告白』してくれた彼女への礼儀であるし、簡単に決められる事ではないと言う、彼の気持ちの現れであった。
もし、彼女が軽い気持ちで告白していたら、彼はこの事にあまり、悩む事も無かったであろう。
何故ならば、人の想いと言うのは、どんな形にしろ伝わるものであるし、人は受け取った気持ちに対して、それ相応の行動をするからであるだろう。
「…………はぁ。どうしよう……」
彼は悩む。机から立ち上がり、ベッドの上に横になった。
部屋の天井を、彼はジッと見つめる。
胸の鼓動はまだ、治まらなかった。
恋。
それは、人間を人間たらしめる為に必要な精神状態。
それは、人間を成長させる為の、心の栄養。
例え、振られたとしても、それは貴方を人間として一段階成長させる為の糧になるであろう。
自分に嘘をついてはいけないし、その選択を後悔してはならない。
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