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背中に大きな羽がはえた。
『それはそれは真っ白く美しい』
なんていえない様な薄汚れた羽。
私はあちらこちら痛む体を壁に預ける。ひやりとした感覚が頬から伝わってくる。
白いソックスにきれいな浅黄色のスカートの女子高生も、
ヒョウ柄のストールを首にまきつけたサングラスのおばさんも
ダークグレーのスーツをしっかり着込んだサラリーマンも
みんなみんな 死んでしまえとおもった
私の腕にはまったひび割れたアナログ時計。時間を刻む音が重かった
私をジロジロ見る人間どもに血の混じった唾を吐きかけてやりたくてしかたがないのを我慢して、電車を降りる。
駅のホーム、懐かしいにおいがして泣きたくなった。
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