再出発

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 俊介はブランケットで体を包み、シートに身を沈めた。ファーストクラスのシートは非常に心地良い。これまで何度も飛行機に乗る機会はあったが、いつもエコノミーだった。なるほど、お金を使ってでも贅沢はしてみるものだ。    俊介のこの贅沢は過分であるかというと、そうではない。何故なら、ほんの45年前まで彼は、年間2億以上稼いでいた社長である。会社は、つい最近、倒産したが、それも借金による倒産では決してなく、彼自身今の仕事に対する情熱がなくなり、5年かけて、円満な形で会社を締めたのだ。
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