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病室に入ると驚いた顔で私を見る母と父がいた。
病院に着くまでの道のりで私は色々な事を考えていた。
第一声は何て言おう…。何の連絡も無い事を怒ろうか…。
でも…もし…母の病状が最悪な状態だったらどうしよう…。
母の意識が無かったら…。
でも私の想像とは全く逆で母は病院のベッドに膝をかかえ座っていて、その横に父が腰掛けていた。
その場所が病院で無ければいつもの二人だった。
その瞬間、ホッとした私は連絡が無かった事を怒るのも忘れ笑いながら二人へと近付いた。
「どうしたん!?」
「いや、ちょっと入院したって聞いたから…」
「よく解ったな」
「一応娘だからね…」
色々と考えていたけど、それだけ言うのが精一杯だった。
「それよりなんで入院なん?」
「健康診断に来たら、そのまま入院だったんよ」
母は少しだけ笑ってそう言った。
母は2日前に父と一緒にこの病院へ健康診断を受けに来たらしいのだか、胃カメラの検査を受けた時点で医師に入院する様に言われたらしい。
「なんかね胃が荒れてるから、きちんと検査するんだって」
「なんだぁ。まったく人騒がせな。じゃあすぐに退院やね。」
最悪な事態では無かった事に安心しきっていた私は、その後の辛い日々など想像もしていなかった。検査の結果を聞くあの日まで本気で検査入院だと信じていたのだ…。
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