プロローグ

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1978年12月 激しい雨がボロボロの窓を激しく打つ。 男は、何もない部屋の隅で寒さをしのぐように丸くなっていた。 今は何時なのだろうか。 妻から誕生日に貰った時計は、どこかに落としてしまったらしい。 寒い…。 友人達は、どこにいるのだろうか。 ちゃんと雨風を防げる場所に避難しているだろうか。 雷の音なのか、どこかで土砂崩れの起きている音なのかは分からないが、外が危険だということは明らかである。 食べ物はもうない。 じきに自分もみんなのとこへ行くだろう… だんだんと体中の感覚が無くなっていくのが分かる。
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