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「やぁ、誰かと思えばルイス君じゃないか」
教室に姿を見せたルイスを見、話しかけるオールバック男ことダニー=スクレチェストは、周りに居た女の子を掻き分けゆっくりと歩をすすめる。
その顔には以前と変わらぬいやらしい笑みを浮かべていた。
それを見て、アイナはルイスの気が若干変化したのを感じ取る。以前と同様それはどこか冷たい。
ルイスをかばうべくアイナはダニーの前に立ちふさがろうとした。
「ダニー。あんたね……」
「名家の落ちこぼれは黙っていろ」
その言葉にアイナの足が止まる。代わりにルイスの右の拳が固められる。しかしルイスはそこで我慢していた。
そんなことには気づかずダニーはブレザーの内ポケットからロッドを取り出す。
「あの時の借りを返さないといけないよね」
向けられたロッドの先端にいびつな球形が形成されていく。
しかし放つ寸前でそのロッドは押さえつけられた。
「遅ぇな。止まって見えるぜ」
茶色の髪を短く刈り上げた青年が、火球ごとロッドの先端を握り締めていた。
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