1 二大大陸と二人の賢者

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「やぁ、誰かと思えばルイス君じゃないか」 教室に姿を見せたルイスを見、話しかけるオールバック男ことダニー=スクレチェストは、周りに居た女の子を掻き分けゆっくりと歩をすすめる。 その顔には以前と変わらぬいやらしい笑みを浮かべていた。 それを見て、アイナはルイスの気が若干変化したのを感じ取る。以前と同様それはどこか冷たい。 ルイスをかばうべくアイナはダニーの前に立ちふさがろうとした。 「ダニー。あんたね……」 「名家の落ちこぼれは黙っていろ」 その言葉にアイナの足が止まる。代わりにルイスの右の拳が固められる。しかしルイスはそこで我慢していた。 そんなことには気づかずダニーはブレザーの内ポケットからロッドを取り出す。 「あの時の借りを返さないといけないよね」 向けられたロッドの先端にいびつな球形が形成されていく。 しかし放つ寸前でそのロッドは押さえつけられた。 「遅ぇな。止まって見えるぜ」 茶色の髪を短く刈り上げた青年が、火球ごとロッドの先端を握り締めていた。
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