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そこにいる誰もがその行動に驚いた。なぜなら誰もがその動きを目で追えなかったからである。
ダニーとケインの間にあった距離は約三メートル。瞬発力のあるものならば確かに一瞬で移動できるだろう。
しかしそれを誰にも気付かれること無く、ましてや音ひとつ立てることも無く移動することなど早々出来ることではない。
「ケイン=ルヴェスタイン……ただの平民の分際で僕に逆らおうというのか!?」
「俺みたいな平民に攻撃止められた能無しはどこの誰だよ」
ダニーはロッドをつかむケインの手を無理やりはがし、それを納めた。
「どいつもこいつも。僕を誰だと思っているんだ! 僕はスクレチェスト家の御曹司だぞ!?」
「でもそれはお前が偉いわけではないだろう?」
今の今まで黙っていたルイスが言葉を発する。
「確かにお前の家は偉いのだろう。しかしお前にそれを背負うだけの力が、力量があるのか?
現にアイナはそれだけの器を持っている。
ケインは上級貴族の息子であるお前を抑えた。平民という身分だがな」
もはや教室内にダニーの味方はいない。
教室が沈黙で満たされる中、教室のドアが開かれる。
「授業を行いますから、着席してください」
男性教員の一言が合図となり、皆が席に戻っていった。
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