第一部 序章

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 一度目の恋は、私がまだ十二の時だった。  私はまだ小さくて、恋も知らぬ時代。夢を見てた。父の夢。優しかった。父は誰にでも優しかった。母にも、村の人々にも、特に私には優しく、いつも一緒にいた。  ある日、父と二人で湖に釣りに行った。父は突然寝ている私をたたき起こし、こう言ったんだ。 「秘密があるんだ」 「秘密?」  私は目を擦り、父を見た。父は笑顔で私を見ていた。とても楽しそうだ。私は一瞬時計に目をやると、まだ四時前だ。辺りは暗く朝が訪れる気配さえ感じられなかった。<何故、なんでこんなに朝早く……>そう思い、私はまた父を見た。
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