目眩り捲り巡る

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高校最後の陸上競技県大会は…私と聡にとって特別な大会だった。 高校最後だからじゃない 私たちの 結婚 が懸かっていたからだ。 「大会で優勝したら結婚させて下さい。」 その申し出を聞いて父は聡を突飛ばし、怪我を負わせたのだ。 今思えば私たちの子供すぎる要求に腹を立てた父の気持ちが… いや、酒呑んで暴力を振るう人の気持ちなんてやっぱ分かんないけど 相変わらずあの頃を思い出すと父に憎しみしか抱かないんだけど…それでも、私も聡もなんか若かったなと思う 二人で一生懸命考えた結婚を親に納得させる方法 実際に子供だった私たちにとってはそれが最善策だった。 その想いがどんなに愚かしいものであれ…暴力は間違っていたはずだ 私は今でも聡に怪我を負わせた父を許せはしない。 「大会で優勝だ?高額な賞金でもでんのか? 二人で生活していく金になんのか、ああっ!? 結婚してどうすんだ、何になるんだガキ共が。」 聡と結婚して生活する今となってはお金の大事さも痛感したけど… 私たちには愛があるからそれだけで大丈夫だとその頃は本気で思ってた 本気で思ってたから、結婚に反対する父には腹が立つ一方だった。 「卒業したら働く。 大会での優勝は…俺の覚悟をみてもらいたいからだ!!」 真剣な目をして立ち上がるその時の聡は…本当にかっこよくて 聡となら結婚しても絶対に後悔しないと思った。 父はまるで納得しなかったし、大会に来る様子も見せなかったけど… その時の聡の一言は父にも響いていたようだ。 その日の県大会男子100m走で…聡は初めてビリをとった 応援席で父もその姿を見ていた
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