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返事どころか、昨日は携帯を開く心の余裕すらなかった
開いてみると、麻耶からのメールがたくさん届いていた。
振り出しに戻った気分だ…
これじゃ最初と変わんねえ。
「麻耶さんに聡からメールが届いているなら、大丈夫だと思ってた。
だからここには来なかった…聡、ごめんね。」
「来るのも来ないのも勝手さ。
それに光太は麻耶の面倒みてくれてたんだから……謝ることはあっても、謝られる謂れはねえな。」
「……聡らしいね。
あっそうだ、一度麻耶さんのお父さんとアパートで鉢合わせしたんだよね。」
病室で見た親父さんのあの必死な表情を思い出した…
「…なんか言ってなかったか?」
「それが…すぐに帰っちゃって、部屋にも上がらなかったんだよ。」
“あのヘタレオヤジめ…"
好きな子の家の前でうろつく中学生か!!
のび太くんみたいに、どこでもドアで風呂場に乗り込むくらいの根性見せろよ!
まあ…それはさすがにやらせねーけど。
「あ…そうだ、新井とはどうなんだ?
麻耶の面倒一緒にみてるんだろ?」
「え?う、うん…料理したり掃除したり一緒に協力してるうちに…仲直り出来たかな~?
ってだから……俺はそんな話するためにここに来たんじゃないって!」
その仲直りの意味が…友達としてなのか、恋人としてなのか聞いてみたかったけど
光太のノリツッコミが朝から相当不愉快だったし
それを聞くほどデリカシーに欠けてはいない…つうか今はまだ眠くてちょっと面倒だし。
「なら…今更俺にどんな話をしに来たんだ?」
「今更の話じゃないよ、これからの話。
どうするの…?」
「どうするって……麻耶に忘れられて死ぬだけだ。
俺は麻耶が幸せに生きられんなら、それ以外に思い残すことはねえよ。」
「………思ったんだけどさ。
聡のお母さんたちは、入院してること知ってるの?」
母さんたち…?
ああ、そうだな
そう言えば……伝える気なんてなかったな。
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