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カードを繰る音がした。カップルが一組、場に躍り出る。
俺は嗤(わら)って見ている。道化の仮面を使いこなして。
俺はいつでも独りだ。孤高とでも言うのか。誰も俺と同じ所まで上がっては来れない。
それはそうだろう。
連中は仲間という数を強みにしながら、俺を追ううちに互いの足を引っ張り自滅する。
仲間は必要ない。
誰かが一番である以上、誰かは二番に甘んじなければならない。それが同じ強さを持てば尚のこと。いつしか互いを憎み合い、出し抜こうとし始める。
誰にも受け入れられない俺が最強というのは、仕組まれているに違いない。
連中を結束させるための、俺は道化。
そんな俺でも、人恋しくなる時がある。それを逆手にとられ、利用されもする。仲間顔して近付かれ、使われるだけ使われる。
しかしそれも続かない。やっぱり独り弾かれる。
また誰かが手を繋ぎ、楽しげに場に躍り出た。
疫病神の俺と、ペアを組もうという酔狂はいない。誰かと組もうなど愚かな望み。
俺は最強であり最凶。孤高の道化は嗤い続ける。そうしなければ、心は折れる。
嬢ちゃんたち。
ババ抜きは楽しいかい?
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