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-待ち人-
“ハロウィン”
それは死者が家族の元にくる日
お盆と違いアナタの方から私を訪ねに来てくれる
だから、私はアナタが分かる様にランタンを作り蝋燭-メジルシ-を立てるの
私はアナタから会いに来てくれる事がスゴく嬉しい
だけどね‥嬉しいのに酷く悲しいの。
だって、そうでしょう?
せっかくアナタが私に会いに来て、傍にいてくれるのに
私はアナタを自分の瞳に映せない
アナタに触れることができない
言葉-コエ-も交わすことが出来ない
でもね‥蝋燭に火を灯せば、アナタに会えることを私は知ってるの。
揺れる灯-ヒカリ-の中に思い出-アナタ-が映るから
温かかったアナタとの確かな記憶-ジジツ-
でも自然と溢れくる涙-シズク-が部屋の静けさと共に寂しさに拍車を駆ける
とても優しくかなしい映画の上映会-ハロウィン-
終わらないでと願わずにはいられない ‥だって終わったらアナタは帰ってしまうから
だけど、いつしか終演がくる
蝋燭が消える頃“アナタとの別れ”がくる
アナタと時間を共有できるのはハロウィンだけ
私を残してアナタは逝ってしまう「また来年」と
孤独-サミシイ-と言葉に出来ない自分が嫌い
なのに私はその約束を胸にしまい、アナタを待ちつづける
だって私は時の止まったアナタと違って“生きている”から
私は待ちつづけるの
幾度となく‥アナタの所へ逝く日まで
-1話目終わり-
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