第二章 禍津日

7/11
34509人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
足に力が入らない。 体が小刻みに震えている。 身体から洩れていた幽体の大半が消え去っていた。 蒼い炎は浄化の光だったのか。 身体に力が入らない。 急激に意識が遠退いていく。 降り出した雪の冷気が、いやがおうにも体力を奪っていく。 (駄目だ……今のこの身体でも出来る事……。せめて姉さんの遺体を見つけ……なきゃ) ガルンは歯を食いしばると雪空の中を歩き出した。 降り出した雪が、体温と共に体力を根こそぎ奪って行く。 視界が段々と白く閉ざされ始めた。 靄が掛かったような、曖昧な白い世界。 雪の為か、意識が混濁して来た為かは分からない。 ただ、ガルンはその白い世界に埋もれて行った……。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!