始まり

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今日もいつもと同じように朝8時に目が覚める。カナコは起きるとまずやらなけばならないことがある。 体温計を脇に挟み、体重計に乗る。記入用紙にその日の簡単な健康状態を書き込むのだ。 カナコ『ふぅ』 習慣になっているためか面倒に感じない。 カナコ『今日は何しようか…』 コンコン。ノックの音がして、医師の斎藤とナースが2人が入ってきた。 斎藤『おはよう。うん、かわりないね。』 カナコ『大丈夫です。』 用紙をチェックしながら儀式を始める。 儀式と言ったが、カナコが勝手に命名しているだけだ。 部屋の掃除や朝食の準備をしているナースに カナコ『もし、母さんが来たら新しい本を買うように言ってくれませんか。』 病院から出ることのできないカナコは母に買い物を頼むことになっている。 ナース『わかったわ。頼んでおくわね。』 斎藤『じゃあ、またくるよ。』 そう言い残して彼らは白い部屋を出ていった。
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