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ヒッチハイク
人通りのない道を走っていく。
カナコ『海ってそんなに遠いの?』
翠『いや、行こうと思えばすぐ行ける。』
カナコ『ずいぶん乗ってるけど。』
翠『いやな、どうせ南に向かってるんだ。見るなら綺麗なほうがいいだろ。』
翠『都心に近いのはダメだ。汚すぎる。といっても、俺も南の海は初めてなんだが。』
翠は不適な笑みを浮かべている。
カナコ『そっか。ありがとう。』
翠『バカっ、なんで礼を言われなくちゃならん。』
カナコ『だって私が連れ出したわけだし。』
翠『まぁ、そうだが。見つかった俺が悪いし、盗人だから時間はいくらでもある。』
もはや翠にとって理由なんてどうでもよいのだ。
この哀れな病人を放っておくことなんて出来なくなった。
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