始まり

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カナコはすれ違うナースたちに軽く会釈をしながら出口に向かう。 院内は自由に行動できるので、隙をつけば正面玄関から脱け出せるのだ。 カナコ『…いける』 ちょうど団体で出入りしている。 カナコはこの機を逃すまいと走り出した。 走るといっても駆け足程度。今のカナコにはこれが限界だった。 たったったっ カナコ『やった…。』 外に出たことで我を忘れて少しのあいだ立ち尽くしていた。 カナコ『まずはここを離れなきゃ。』 見つかればあの白い部屋に連れ戻される。さらに監視がつくだろう。 カナコ『とは言っても宛がないや…』 ははっと笑い、家に行ってみることに。 両親は共働きで夜遅いはずだから今行ってもいない。 玄関にたどり着き、並んでいる植木鉢の奥から3番目を退かしてみた。 カナコ『これは変わっていないわね。』 そう言うと、鉢の下から合鍵を取りだして家に侵入した。
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