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『──ここでなんと、ミスコン始まって以来の異例の事態!今回特別に、急遽参加者を追加することになりました!』
エントリーナンバー十五番夏目涼の紹介を終えたところでの司会者の突然の発表に、ミスコン会場はざわめいた。
『ミスコン参加者は十五人という伝統を打ち破ってまで、ミスコン部に参加を決断させるほどの美少女とは一体誰なのか?刮目せよ!エントリーナンバー十六番、戸西 小雪さんです!』
俺の偽名が高らかに呼ばれ、舞台へと出た俺に向けて盛大にスポットライトが当てられた。
男でありながら、俺はミスコンという名の新たな戦場に上がったのだった。
講堂はとても広く、後ろの席からはとてもじゃないが舞台上の人の顔を確認することはできないため、ミスコン部によって巨大スクリーンが設置され、参加者達の姿がバッチリ映し出されている。
当然戸西小雪も、どこからともなく撮影中のカメラによって大画面に屈辱的な姿を晒していた。
セミロングの黒髪。女子としてはかなり高い身長のその身に、鮮やかな青色の浴衣を纏った女子生徒……っぽい俺がいた。
浴衣というのも吉川と田中さんの案だ。
俺は急遽参加が決まったため他の出場者のように特注のドレスなど用意していない。
そして、男らしすぎる体型を隠すのにも、用意するのにも丁度いいということで、俺は浴衣を衣装として参加することになったのだ。
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