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俺が舞台上に現れたことで、会場は騒然となった。
先に登場していた夏目やその他の参加者達も、驚愕や困惑の表情で俺を見つめている。
まさか……バレたんじゃ?
そりゃそうか。
いくら化粧やカツラで誤魔化したって、男を女に見せるなんてそう簡単にはできない。
ましてや男気溢れまくってるこの俺だ。
このオーラを隠しきることなんてできやしないだろう。
男としてはかなり安心したが……だが、それはかなりまずい。
このミスコンには夢を求めて多くの飢えた野郎共が集まっている。
彼らが求めているのは美少女という名の夢だ。
彼らにとってミスコンとは神聖なものであり、その舞台に男が上がるとなれば、それは万死に値する……かもしれない。
やっべ、殺されっかな俺?
呼ばれた参加者はまず、舞台の中央に行って、会場に向けてお辞儀したり手を振ったりとかすることになっている。
俺も中央まで歩いて来たものの、客席の方を向くと、途端に会場内は静寂に包まれた。
あぁ……やっぱバレてる?
生徒会長がこんな姿で出てきたからみんな引いてたりする?
俺、もしかして白けさせちゃった?
唐突にやっちゃった感を感じ、俺は舞台の中央で立ちすくんでしまった。
あぁくそ、どうすんだよこれ。
俺は為す術もなく、舞台上に佇み、俯いてしまった。
軽く、へたれモード発動中かっこ泣き。
しかし、俺が俯いて五秒ほどが経つと、会場内が再びざわめき出した。
一体何が?
顔を上げると、会場内は一気に歓声に包まれた。
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