学園祭の闘い

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  『これはなんとー!最後の最後にとんでもないダークホースの登場です!!これほどの美少女が今まで注目されていなかったとは信じられません!一体何者なんでしょうか!?はぁ~、恥ずかしがってる姿がまた可愛らしい』 どうやら、バレてるわけじゃないらしい。 やたらテンションの高い司会者の言葉で、会場の盛り上がりも上がっている。 基本うちの生徒は楽しいことが好きだ。 突然謎の少女の乱入となれば、おもしろがる人は多いだろう。 実際は少女なんかじゃないが。 気を取り直して、会場に向けて微笑みながら手を振ると、他の参加者達が並んでいるところへ俺も並んだ。 隣に立っているエントリーナンバー十五番の夏目は、不思議そうな目で俺を見ている。 「じ~……」 ていうか、ガン見されてるんですが。 「えっと……ハハハ?」 あくまで少女を装い、戸惑ってみせる。 バレてないバレてない。 「じ~……」 「あ、あのぉ?」 はは……バレてないさ。 「じいぃ~~~」 「な……何?」 バ、バレるわきゃねぇさ。だってヅラだぜ?ナチュラルメイクアーップだぜ?お祭り大好き浴衣ちゃんだぜ?こ、これが男だなんて思うわけねぇさてやんでぇ。 「戸西小雪か……かわいい名前だねっ?」 しばらく俺を眺め回した末、突然ニコッと、男子生徒を瞬殺、必殺、大虐殺できる笑顔を見せ、声を潜めて話しかけてきた。 「あ、ありがとう」 ふぅ……なんとかバレてないみたいだな。 「意外と高い声出るんだね~。それなら多分みんなにはバレないと思うよっ」 あはは、バレてんじゃねぇかてやんでぇ。
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