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「え、あと、これは……」
さて、どうする。
冷房が効きすぎて寒いくらいの講堂内で、俺は焦りとか恥ずかしさとかいろいろなことでテンパり、嫌な汗をかいていた。
誤魔化しはきかない。
バラされる前に口止めをしなくては。
いやしかし、頼むのか?
こいつに?
言わないでくださいと下手に出て、こいつに弱味を握らせるのか?
それは駄目だ。
こいつに弱味を見せるのは今後のためにもなんか嫌だ。
ならどうすればいい?
こうなったら口止めではなく口封じを……ってそれじゃ駄目だろ。
ああクソ、どうしようもない!
なんでよりにもよってこいつにバレてしまったんだよ!?
こうなったら、またハヤ丸君方式でシラをきってやる。
多分意味ないけどな。
「……ぷっ、やっぱり小西くん、可愛いね。今は見た目も可愛いし」
夏目は小さく笑い、周りに聞こえないように呟いた。
「ダイジョーブだよ。そんなに悩まなくても、誰にも言ったりしないからっ」
「え?黙っててくれるのか?」
「ん~、だって、戸西小雪が小西くんだってバレたら、小西くんまた女の子達に……」
「え?なんだって?」
できるだけ声を潜めて話していたためか、後半はよく聞こえなかった。
「ううん、なんでもな~いよっ」
そう言って夏目は微笑んだ。
よくわからんが、黙っててくれるんだよな?
まぁ、夏目はあれでもかなりいい奴だし。
ここは夏目を信じるとしよう。
俺達がこそこそ話している間にもプログラムは進行していて、それぞれのアピールタイムとなっていた。
ここで参加者達は、歌ったり踊ったり好きなことを話したりしてアピールする。
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