学園祭の闘い

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  ───── 「小雪ちゃ~ん!俺と一緒に」 校庭からグラウンドに降りる階段に腰掛けていると、矢野が手を振りながら俺目掛けて駆け寄って来た。 よし、吹っ飛んでもらおう☆ 「吹っ飛べ!」 「ちょ、へっ?まっ!?あああぁぁぁ!」 ちっ、砂場に落ちたか。 夏目の勝利に全校が沸いた閉会式はさくっと終えて、今は後夜祭が行われているところである。 「あ~あ、矢野のやつ、頭から砂場に突っ込んだな」 気の毒そうに矢野を眺めながら近づいて来たのは、俺に一生残る心の傷を与えた吉川だ。 「小雪ちゃんは、ライブで歌ったりしないのか?飛び入り参加OKだけど」 「ようし、その喧嘩買った」 俺はポキポキと指を鳴らし、立ち上がった。 「待て待て!冗談だから!矢野みたいに吹っ飛ぶのは勘弁っ」 顔を引きつらせ、手の平を振って俺を制止する吉川。 「はぁ……わかってるよ。今日はもう疲れた。俺はここで大人しく座ってるさ」 再び階段に腰を下ろし、俺は腹の底から息を吐き出した。 後夜祭といっても、グラウンドの特設ステージで人気の高かったバンドがライブをするぐらいなので、生徒会はトラブルのないように見ているくらいしかやることがない。 後夜祭終了の七時までここで休んでいたいもんだ。 「あ~、残念だけど幸人。どうやら休んでる暇はないらしいぞ?」 何故かやたらとニヤニヤしながらそう言うと、吉川はグラウンドの真ん中を指差した。 そこでは、毎度お馴染み学園のアイドル様がなにやら熱心に作業をしていた。 あの太い筒は……また打ち上げ花火か。 さっそく、トラブルメーカーが動き出したようだな。 「やれやれ……」 俺は渋々といった感じで立ち上がり、夏目の姿を見据える。 しかしその目は、とても輝いているんじゃないかと思う。 負けたら悔しい。 時には怒りにさえ繋がる。 だけど、勝てば嬉しいし、負けた時でさえ、全力を出して闘えば、何とも言えない達成感を得ることができる。 ──だから勝負事はやめられない。 俺は胸躍らせながら、闘いの場へ駆け出した。
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