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鞄を持って立ち上がり、教室を目指す。
それにしても、生徒会室から教室棟はやたら遠い。
本当に無駄に広い学校だ。
生徒会長権限でどうにかこの距離を縮めて……いや、空港みたいに動く歩道とかエスカレーターとかつければ……
──ピンポンパンポーン
くだらないことを考えていると、スピーカーからお馴染みのあのメロディが聞こえてきた。
何故だろう、とてつもなく嫌な予感がするのだが。
『この放送室は只今をもってこの私!夏目涼が占拠したぁ!』
校内に響く聞きなれた声。
そんな馬鹿な!
夏目対策のために放送室の鍵と屋上の鍵は昨日から生徒会室に保管してあるはずなのに!
生徒会室の鍵も俺が携帯しているから侵入は不可能なはずだ。
『鍵を生徒会室に移したくらいでは私にとって何の障害にもならないのだよカイチョーさん!あなたが仕事に集中している隙に窓から忍び込み、鍵を拝借させてもらったよん!窓を開けっぱなしにしていたのが運のつきね』
クソッ、いつの間に!?
忍者かあいつは!?
生徒会室クーラーついてないんだからしょうがないだろ!
こんな時間でも登校していた生徒は結構いたらしく、校内がざわつき始めた。
俺の姿に気付いた生徒も何人かいるようだ。
『これから、ご近所にも聞こえてしまうくらいの大音量でラジオ体操を流しちゃいます。止めたければ今すぐ放送室まで来なさい!第二体操までに放送室に辿り着けなければ私の勝ち。ただし、放送室のある本棟北四階の廊下は完璧にバリケード封鎖してあるから、がんばってね会長さん!それでは、スタート!』
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