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「ふあぁ~……」
夏目涼は放送室であくびをしていた。
今日は珍しく早起きをして来たため、結構辛い。
だが、今の気分は最高だ。
また一つ、生徒会長を困らす騒ぎを起こした。
あと少しすればまた伝説と呼ばれるのだろうか。
でも、そんなことは実際どうでもいい。
夏目はただ騒ぎたいだけなのだ。
とにかくおもしろいことをしたい。
人よりも行動力があるのだからそれを実践しているだけ。
人のペースに合わせて動くのが苦手で、自分の思うように動いていたら、いつの間にか伝説なんて呼ばれるようになっていた。
みんなを楽しませるのは嬉しいし、自分も楽しい。
だからこうして、楽しいことをたくさんするのだ。
それに、最近は別の『楽しみ』もできた。
その『楽しみ』が今、自分のためにバリケードでもがいているのを想像し、夏目は自然と笑みをこぼす。
気がつくと、ラジオ体操第一は終盤に差し掛かっていた。
『大きく深呼吸──』
という声が響き、曲が終わりに近づく。
(ごめんね会長さん。今回も私の勝ちだよ)
夏目は勝利を確信し、勝利宣言のためマイクへ近づく。
しかしそこで、何かの気配を感じて後ろを振り返った。
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