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「さ~すが“たこ焼き屋でメイド喫茶を打ち破った男”だ。ついにやっちゃってくれたな~。いや、幸人。お前ならやってくれると信じてたよ」
朝の騒動を終え、放り出した鞄を拾って教室へ入ると、生徒会の相方であり、二年連続同じクラスであり、席が隣である吉川に話しかけられた。
人と行動することの少ない俺にとって一番親しい友達はこいつだろう。
「……ありがとう。俺のことを応援してくれる人が一人でもいることは嬉しいよ。だが、人に妙な称号をつけるのはやめてくれ。あと、言葉とは裏腹に鳩尾を攻撃し続けるのもやめろ。地味に痛……痛いっつうの、このボケッ!」
そういやこいつも夏目のファンだっけ?
これからは男子生徒に俺の仲間がいるとは思わない方がいいだろうか。
「うるせぇ、みんなのアイドル夏目さんの伝説を邪魔したんだからこれくらいの報いは当然だ」
「お前それでも生徒会か!?昨日は俺の味方っぽい感じに言ってたろ!」
「だからこうして祝ってやってんだろ。この拳は俺の愛の証だ。ありがたく受けとれ」
勝手なこと言いやがって。
今までは生徒会に入るくらいの真面目な爽やか好青年だと思っていたが、今日からこいつの称号は“悪友”に決定。
「それにしても、幸人も遂に馬鹿になっちゃったんだな~。まさか屋上からロープをつたって放送室の窓に侵入するなんてな。お堅いことで有名な生徒会長様がそんなことするもんだから、もうかなりの噂になってるぞ」
そんなことは百も承知だ。
本気でやると、決めたんだから。
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