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───2008年9月1日
「ハァッ、ハァッ、ハァッ」
俺は全速力で階段を駆け上がる。
一階からスタートを切り、一気に最上階……いや、その更に上を目指す。
廊下は走っちゃいけません。
知るかそんなもん。
今は緊急事態。
そしてこれは公務だ。
俺がこの学校から与えられた仕事をこなすという大義名分がある。
そう、俺は今パトカーだ。
制限速度なんか構ってられない。
だが、パトカーだからと言って人身事故を起こすわけにはいかないわけで……
「ごめんよ!」
と前方の女子生徒に声をかけ、真横を全速力で駆け抜ける。
走りつつ振り返り、ごめんねのポーズをするのも忘れない。
女子生徒は初めはポカンとしていたが、すぐに何かを察したように笑みを浮かべ……
「会長がんばって!」
とか激励をいただいた。
くそう、楽しそうにしやがって!
こっちはいい迷惑だっての。
この学校で最も高い位置にあるドアの前に立ち、少しだけ呼吸を整える。
運動不足……じゃないか。
そりゃ、一階から屋上まで全力でダッシュすれば息も切れる。
俺は、息を思いっきり吸ってからドアを勢いよく開き、屋上にいる生徒に向かって叫ぶ。
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