伝説の軌跡

4/5
14606人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
  この友達は今まで中等部だったのに何でこんなに詳しく知ってんだろってくらい事細かに、この『学園のアイドル』や『伝説』のことについて説明してくれて、だいたいは理解できた。 要するに、夏目涼っていうすごい可愛いくてすっごい人気者の先輩がいて、その人は普通の人は絶対やらないし絶対できないようなすごいことや楽しいこと(時には校則の範囲外のこと)をたくさんやってきていて、それは伝説として語り継がれていた……ってとこかな? 「それで、次は生徒会長についてなんだけどね」 っと、そっか。 まだ学園のアイドルについてしか聞いてないから、この話はあと半分あるんだ。 「その生徒会長っていうのも、とんでもなく凄い人でね」 「うん」 「特待生で高等部に入学したくらい頭が良くてね」 「うんうん」 あれ、特待生? 「おまけに身体能力は超人的な完璧人間!」 「へ、へぇ……」 も、もしかして。 「元々、その生徒会長は夏目さんの唯一の好敵手で──」 そして、その話を聞いている内に、ウチが抱いた疑問はほとんど確信へと変わっていた。 その生徒会長は夏目さんのことが好きで。 実は夏目さんと同じ小学校に通っていたことがあって。 実はその超人的な身体能力や頭の良さは全部夏目さんを振り向かせるための努力の賜物で。 実は端山学園に来たのも夏目さんに逢うためで。 賭けてもいい。 こんな馬鹿みたいにひとつのことに一生懸命になれる端山学園の特待生の生徒なんて、一人しかいない。 その人のことならウチが一番よく知ってる……と思ってたけど、実はそうでもなかったみたい。 こんなことを敢えて黙ってるなんて、幸にぃってかなり意地悪。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!