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「そこまでだ!!」
「はわっ…!」
叫ぶと同時に、俺はそれ以上の言葉を失った。
開いた口が塞がらないとは正にこのことか。
そこに居たのは、俺の予想通り一人の女子生徒だった。
しかし、驚いたのはその周辺だ。
屋上の中央に屈み込む彼女のまわりには、筒状の物体が幾つもならんでいる。
その数は半端無い。
筒に20連発とか書かれているのは気のせいか?
女子生徒は立ち上がり、そのやったら整った顔を俺に向けた。
「もうバレたのー!?早い、早すぎるよ!まだ半分も終わってないのに!!」
とか言っている間にも連続した破裂音が続いている。
俺は頭を抱えたい衝動を抑え、息を吸い込む。
とりあえず、落ち着こう。
焦ったって一度火をつけた20連発は止まらない。
「一応聞いておこう。始業式の放課後に、部活もないお前が学校に残り、こんなところで何をしている?答えやがれ夏目 涼!」
「えっと……夏の忘れ物を片付けてる?」
何故疑問形で答えるんだ。
「題して!『真昼の花火大会500連発!!』」
どうだーという表情で胸を張るそいつに、俺はため息以外のリアクションを返すことはできなかった。
成る程、つまりあの筒状の物体は二十五本あるわけね。
数える手間が省けて助かるよ。
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