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と思っていた俺が馬鹿だった。
「調子に乗んなって言ってんだろ!!」
───ドゴッ!
左頬を強い痛みが襲い、殴られた勢いで二、三歩後ずさる。
口の中に血の味が広がる。
三人は未だ戦闘態勢にある。
どうやらここに俺を呼んだのは脅すためとかではなく、痛い目を見せるためだったらしい。
まさか、ここまで馬鹿だったとはな。
こんな奴等が夏目のファンだと?
こんなことをして夏目が喜ぶとでも思ってんのか?
夏目が何のためにあんなことばかりしてるのかわかろうともしないクソ野郎共が。
夏目がいつも妙なことをするのは、楽しいからだ。
だが、それはただ自分が楽しむためという身勝手なものでは決してない。
夏目はいつもそうだ。
新学期最初の日の花火も。
学園祭準備中の放送室占拠も。
自分が楽しいのはもちろん、みんなを楽しませるため。そして学園を盛り上げるため。
俺との闘いにこだわるのも、みんながそれで楽しんでいるのを知っているからだ。
夏目の伝説は……俺と夏目の闘いは、こんな奴等にこんなことをさせるためだったのか?
これじゃあまりにも……哀しすぎるじゃないか。
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