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小西幸人は体勢を崩したまま動きを止めていた。
さっきの一発が相当効いたな……と思い込み、三人組の一人はニヤリと口を歪める。
だが彼は一発で終わりにするつもりは毛頭無い。
今日ここへ呼び出したのは脅すためではなく、生徒会長を徹底的に痛め付けるためだからだ。
ここで痛い目をみれば、この目障りな生徒会長もこれからは夏目の邪魔をしなくなる。
そう思っているからである。
生徒会長である小西幸人は特待生なので頭が良いのは勿論だが、運動神経もずば抜けていて、つまりはケチのつけようの無い完璧人間だということはもはや端山学園の常識だ。
そんな超人相手に一対一ではどう考えてもまず勝ち目は無い。
だが、今は三対一。
彼らは三人がかりならば、小西幸人に勝てると思っているのだ。
三人組は小西に制裁を加えるべく彼に近づいた。
その時──
ゆらり──と小西の体が動き、三人組をその目で捉えた。
その目は、表情は、いつもの冷淡な彼のそれとは全く異なり、不気味な雰囲気を醸し出していた。
普段とは違う、黒いオーラを纏った生徒会長に怯み、三人組は立ち止まる。
これはまずい。
何かわからないが、とにかくこれは相手にしてはならない。
三人は本能的にそれを悟った。
突如、小西が口を開いた。
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