生徒会長の反撃

24/28
前へ
/226ページ
次へ
  「市川健二」 「……え?」 突然自分の名前を呼ばれ、リーダー格の右側に立っていた少年は疑問の声をあげる。 「高等部一年二組出席番号三番。映像研究部所属。生年月日は1992年10月26日。血液型A型。父親は市川誠45歳保険会社勤務」 「な、なんでそんなこと知って……」 「鈴木佑一。一年二組出席番号十二番。帰宅部。1993年2月5日生まれ。血液型はA型」 「ひっ……!」 今度はリーダー格の左側の少年が声をあげた。 「な……なんなんだよお前!なんでそんなこと知ってんだよ!?」 すると小西は、貼り付けられた笑みを浮かべながら質問に答える。 「どうした?何をそんなに狼狽えてるんだ。俺は生徒会長なんだからそんなことくらい知ってて当然だろ?お前らのことなんて大概知ってるぜ?なぁ、二年五組十七番原田雅之」 原田は激しく動揺した。 いくら生徒会長といえども、生徒全員の名前と出席番号を覚えるなんてできるものなのか……と。 その不気味さに、原田は虚勢を張ることしかできなかった。 「く……そ、それがどうした!こいつが俺たちのことを知ってようと関係無い!やっちまえ!」 原田の指示で、三人が一斉に小西に殴りかかる。  「……しょうがねぇな」 どこか哀しげに、小西は呟いた。 「残念だが、お前達は学園祭に参加できない」 言うや否や、三人の拳は小西を襲う。 そしてあまりにも無防備に、小西は地面に転がった。 「……え?」 三人は困惑した。 おかしい……あっさりすぎる。 すると、小西は地面に手をついたまま哀しげに微笑んだ。 「……お前ら全員、停学だ」 その直後、三人は背後に気配を感じ、ある人物を視界に入れた。 そこに立っていたのは、生徒指導の河原だった。 「お前達!こんなところで何をしている!!」 「先生、忙しいのは分かりますけど、来るのちょっと遅いです」 頬をさすりながら小西は立ち上がる。 いじめにあえば迷わず先生にチクる。 小西幸人はそういう男なのだ。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14607人が本棚に入れています
本棚に追加