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小西幸人。
二年二組。
出席番号九番。
彼も夏目涼と同じくこの学園の有名人である。
故に彼の情報を集めるのも容易いことだ。
二組ということは知っていたので、夏目が二組の男子生徒にこっそり訊いてみると、おもしろがってすぐに出席番号を教えてくれた。
また何かやるんですね、なんて言われたが……そんなに大したことをするわけではない。
夏目は小西幸人の下駄箱を見つけ、立ち止まる。
(ふっふっふっ、この私に反省文を書かせた報い、しっかり受けてもらうよ~)
といっても大したことではない。
両方の靴の紐を互いに結んでおくというベタなイタズラをやりたいだけだ。
そう、夏目がやりたいのはちょっとした、悪意の無いイタズラ。
小西にとってはかなり迷惑だろうが……人を傷つけることのない可愛いイタズラだ。
夏目が小西の下駄箱を開けると、そこには当然だが一足の靴があった。
──しかし、それだけではない。
「え……何これ……?」
その靴の中には画びょうが入れられていた。
それも足を怪我させるために仕込まれたものではない。
数十もの画びょうが両方の靴に山のように盛られており、下駄箱内に溢れ落ちている。
明らかな悪意。
肉体を傷つけるためではなく、心を傷つけるための嫌がらせ。
(こんなことをする人がいるなんて…)
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