14607人が本棚に入れています
本棚に追加
「真っ昼間に屋上で花火なんかすんな!屋上は立ち入り禁止だ!それと学校での火薬の使用も禁止!以上の理由で貴様を生徒会室へ連行する。この俺が反省文という名の鉄槌をくれてやる!」
「もーう!いつもいつもいっつも、いいとこで邪魔するんだからぁ~!でも、これだけはなんとしても成し遂げる!!」
と、夏目はスカートのポケットから鍵を取り出した。
多分屋上の鍵だろう。
「そーりゃっ!」
響きの良い掛け声と共に、鍵は天高く放り投げられた。
「なっ……!」
このままの軌道ではギリギリで下に落ちる!
学校の備品を無くすわけにはいかん!
俺は思わず駆け出し、咄嗟の判断でフェンスをよじ登り、身を乗りだして手を伸ばす。
く……結構遠い!?
「届けぇーーー!!!!」
──パシッ
奇跡的に、鍵は俺の手の中に収まっていた。
俺……できる子!
「ナイスキャッチ!さすがだね~会長さん!それでは、またいつか会いましょ~」
その声に振り向くと、夏目は憎らしい程の明るい笑顔で手を振り、階段を駆け降りて行った。
俺は鍵を握りしめ、呆然と立ち尽くす。
「またやられたか……」
周りを見渡すと、いつの間にか残っていた花火すべてに火がつけられていた。
一度火をつけた20連発は止まらない。
俺はのこり数百発の花火を、ただ見守るしかなかった。
今すぐ水を汲んで来てぶっかければ止められるが、そんな無粋な真似はしない。
今日は奴の勝ちだ。
また一つ、伝説が生まれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!