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「いっけぇーーー!!」
別の同好会員が熱く叫ぶと、フリスビーを宙に放った。
エンペラーくんは同好会員の指示に応え、フリスビーを追って走り出す。
清々しい日の光の下、青い円盤は空を切り裂き、飛んでいく。
エンペラーくんはそれを懸命に追い、グラウンドを駆け抜ける。
そして絶妙なタイミングで地を蹴り、空中で円盤に追い付く。
見事なキャッチだ。
犬はすごいな。
キツネには到底真似できないだろう。
キャッチしたフリスビーをくわえたまま、エンペラーくんは同好会員のところに戻って来る。
観衆から拍手で迎えられ、フリスビーを会員に渡す。
本当にお利口だな。
どっかのアホ女もあれくらい真面目に生きればいいのに。
それにしても、これはまずいな……マジでハヤ丸君のマスコットの座が危ういかもしれない。
なんて現マスコットが自分の地位転落の不安に脅えている間にも、アジリティ会場は盛り上がりを増していく。
そして、マイクを握って場の進行を仕切っている会員は、何かを思い付いたように口を開いた。
『そうだ!それじゃあ、そこにいるハヤ丸君に、エンペラーくんとフリスビーキャッチ対決をしてもらいましょう!』
……あ、バレた。
てか、対決?犬とキツネが?
『高等部生徒会長と同等のスペックを誇るハヤ丸君なら、きっと素晴らしいキャッチを見せてくれるはずです!』
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