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「幸人がさっきのプロレスの試合で、あの山崎を含む三人を同時に相手にしたのは知ってるよね?」
夏目は黙って頷く。
「幸人は大勢の観客の前で、その三人を二十秒足らずで倒してみせたんだ。あのハヤ丸君の格好でね」
「あー……本気、出しちゃったんだね?」
な……なんだよその目は!
俺は常に全力投球なんだ!
「この一件で幸人は伝説を創った。この学園で伝説を創るってことはさ、つまり、そういうことでしょ?」
吉川は横目で夏目を見ながら、そう言った。
つまり……どういうことだ?
「つまり、俺が次のアイドルってことか?」
「アイドルとまではいかないだろうが……一躍時の人くらいにはなるんじゃないか?お前は試合後すぐにリングから飛び出してったから気づかなかったかもしれないけど、会場の盛り上がりは尋常じゃなかったぜ?あんな伝説を見せられたんだ。幸人のこと嫌う奴なんていないよ。それどころかより一層、夏目さんVS生徒会長のバトルが楽しみになってきたんじゃないかな。夏目さんがここで伝説を創るのをやめたりしたら、逆に幸人が責められるだろうね」
何が楽しいのか、吉川はさぞおもしろそうに解説した。
なるほどね。
生徒会長が噛ませ犬じゃないってことが全校に知れ渡れば、より一層俺と夏目の人気が上がるってことか。
……悪い気はしないな。
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