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「それ、本当なの?小西くん、もうあんな嫌がらせされたりしないの?」
夏目が再び真面目モードで吉川を問い詰めた。
「教室に戻ればわかるんじゃない?きっと今頃学園中その話題でもちきりだと思うから」
吉川はニヤリと笑いながら眼鏡を上げる。
「生徒会長の伝説か。あんましこいつと一緒にして欲しくないんだけどな」
だが俺はそんな言葉と裏腹に、実は満更でもなかったりする。
人に称賛されるのは嫌なことじゃない。
それに何より、夏目が伝説をやめなくていい理由ができて安心していた。
やっぱり手強い相手がいないと燃えないしな。
─────
吉川の言う通り、俺の好感度は一気に上昇していた。
吉川と夏目は知らなかったようだが、プロレスの前にやっていたフリスビーキャッチ対決も多くの人からの称賛を得たらしい。
その後保健室から出て見回りを再開すると、やたらと人から声をかけられるようになった。
午前同様記念写真を頼まれることもあったのだが、今度は女子だけでなく男子にも頼まれるようになった。
正直あまり嬉しくないが。
午後にはハヤ丸君人気もうなぎ登りで、かき氷屋、焼きそば屋、お化け屋敷を手伝い、バンドのゲストとして参加し、更には『マイナーな部を紹介する会』なるものの司会を頼まれ、最後に男子バスケ部VS女子バスケ部の試合の女子の助っ人として参加して見事女子を勝利に導いたところで時計の針は午後五時を指し、端山祭一日目は終了した。
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