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「幸人く~ん。真面目にお仕事もいいけどさ、今回は少しくらい図に乗っちゃってもいいんじゃねぇの?あんなに活躍したんだし。ハヤ丸君の件でようやくお堅い生徒会長のイメージが取れたんだ。せっかくの祭なんだ、もっとはじけようぜっ!」
吉川がそう言うとみんなそれに賛同して頷いた。
俺としては十分はじけてるつもりなんだけどな。
てか、明日もはじけるために俺はさっさと家に帰って休みたいって言ってんだけどな。
明日もこんな大変な一日が待っていると思うと、急に電池が切れたかのように体の力が抜けていくのを感じた。
あぁ……またあれか……
「活躍なんてどうでもいい……早く終わらして帰りたい……疲れた……腹減った……」
もう無理だよ、帰りたいよ…。
「うわっ、出た!会長のへたれモード!」
「あの、疲労が一定以上溜まるとなるってやつ?うわぁ、初めて見た」
「これになると会長さん、完全に使い物にならなくなるんだよねぇ…」
「もう、吉川のせいだからねっ!こうなった小西はめんどくさいんだから!」
「て、俺のせいかよ!?みんなで喋ってたからっしょ!?はぁ~。これさえなければ、幸人は完璧なんだけどな~」
まわりの奴等の言うことなんて完全に無視して、俺は机に突っ伏し、唸り声を上げる。
自分で言うのも嫌なんだか、これが噂のへたれモードである。
普段どんなことにも一生懸命な俺だが、常人には不可能なほどの頑張りを見せる代わりに、ひと度限界を超えてしまえば一変、とんだへたれ野郎になってしまう。
ま、完璧な人間なんて存在しないってことさ。
幸い、この俺の唯一の弱点を知っているのは学園ではこの生徒会メンバーだけで、今日みたいに帰りが遅くなった日などにたまに見せるぐらいだ。
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