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夏目の姿を見送ると、俺は携帯電話を取り出しある人物へ電話をかけた。
「もしもし、委員長?今学校にいるか?」
『あぁ、いるぜ。今ちょうど、調理室でアイスの下準備をしてたとこだ』
「ってことは当然あの放送は」
『聞いてたさ。明日勝つために量を追加するんだろ。いくらだ?倍か?三倍か?』
わかってるじゃないか。
さすが、俺が認めたクラス委員長だ。
「今日の六組の売り上げは二組の倍。明日はその更に倍の売り上げを出すと考えて、とりあえず少なくとも六倍はないと勝てないだろう。俺もすぐに行く、できるだけの準備を頼む!」
『了解!できるだけ人数集めとくぜ』
─────
「やっぱりさ、俺達だけじゃ難しいし、女子の力が必要だと思うんだよ」
「じゃあ、二組の女子に頼んだら?どうせ小西、明日はクラスの方に入り浸るんでしょ?」
「問題はあの会長をどうやって捕らえるかだよなぁ…」
生徒会室に戻ると、役員達はいつも以上に真剣に会議をしていた。
明らかに良からぬことを考えていやがる。
「……お前ら、何してんだ?」
気配を消して窓から室内に入るが、誰一人として驚きもせずにこちらを振り返った。
「何って、生徒会長サプライズ企画第二弾の作戦会議」
「サプライズなら隠れてやれよ!バレたらつまんないだろ!てか、俺が頼んだのはそんな打ち合わせじゃない!」
すると、吉川が立ち上がった。
「そっちはもうとっくに終わったよ。それより、お前はクラスの方に行くんだろ?明日も幸人の仕事はハヤ丸君になるだけだから、それでクラスの手伝いできるしな」
なんだ、こいつもわかってるじゃないか。
「あぁ、それでお前を呼びに来たんだ。人手がいる。お前も来て手伝え」
「わかってるよ。そのつもりさ。ほら、その前にこれでも食え。今日はまだ長くなりそうだ。またへたれモードになられちゃ困るからな」
そう言って吉川はチョコレートの携帯食を手渡してきた。
さすが俺が認めた副会長だ。
やる時だけはやってくれるな。
「じゃ、田中さん。その件は田中さんからクラスの女子達に頼んでみてくれないかな」
「私も一応二組だかんね。あとはまかしとき!」
そんな二人のやりとりにかなりの不安を感じつつ、だけどちょっぴり楽しみにもしつつ、俺は吉川を引き連れて調理室へ向かった。
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