学園祭の闘い

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  「おはよ。どうした?随分早いな」 振り返って朝の挨拶をするが、田中さんの不審そうな表情は消えない。 「昨日私だけクラスの方行けなかったから、早く来て少しでも手伝おうかと……て、そんなことより、なんなのその格好は?」 なんなの。と言われましても、俺は今日普通に……あ。 「おいおい、なんてこった。俺としたことが自分の立場をすっかり忘れていた」 そんじゃま、テイク2ということで。 「僕小西じゃないよ、ハヤ丸君ダヨ」 片手を挙げ、夢見る少女田中さんに挨拶をし直す。 そんなお茶目な俺に田中さんは腹を抱え……あれ?軽く引いてる? 「いや……なんかもう、なんて言っていいか……あんたかわいいよ」 そりゃそうだ。今俺はハヤ丸君なんだから。 「まぁいいや。とりあえず、ちゃんとした答えを聞きたいんだけど……なんでハヤ丸君の格好で登校してるわけ?」 こんな俺でも見捨てずにちゃんと訊いてくれるだけ、俺の周りの人達は優しいんだろうか? まぁ、田中さんも同じクラスだし、関係大有りなので話しておこう。 「なぁ、アフリカゾウとインドゾウの違いって判るか?」 「アフリカゾウの方が耳と牙が大きいんだよね?」  かなり意表を突いた質問をしたつもりなんだが、田中さんは戸惑いもなくあっさりと答えやがった。 「……その通り。暑いところに棲んでいる方が耳は大きくなる。逆に、寒いところに棲んでいる方が耳は小さくなるんだ」 「へぇ、そうなんだ。それで?」 「俺の耳を見てくれ。普通のキツネと比べると小さいだろ?」 「言われてみれば、頭の大きさの割には小さいかもね」 「つまり、ハヤ丸君はキタキツネだ」 「そうだったんだ?それはそれは、暑い中ご苦労様です」 それで?と目で続きを促してくる。 「雪国出身なので、アイスクリームのイメージに合うかと思って」 田中さんにハヤ丸君に掛かっているタスキの字を見せる。 『二年二組 アイスクリーム始めました』  
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