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『本気?』
と疑問の声をハモらせたのは田中さんと野々村だ。
「あ、私聞いたことあるよぉ。一年の時の学園祭で売り上げ一位確実だって言われてた夏目さんのクラスを出し抜いて、会長さん率いる七組が一位になったって」
と言うのは後藤さん。
「なにぃ?たこ焼き屋で夏目さんのメイド喫茶に勝ったという伝説は会長の仕業だったのか!?」
とアホみたいに騒ぐのは矢野。
「伝説とか言うな!あんなアホ女と一緒にされてたまるか。俺はちゃんと校則の範囲内で勝負してんだよ」
と力一杯に否定するのは俺だ。
「俺、一年の時も幸人と同じクラスだったから知ってるんだけどさ、あの時の幸人はそりゃもう超人的だったよ。今も人並みじゃないけどさ」
吉川がちょっと失礼な評価をするが、今更気にはしない。
「ま、そういうことだ。俺が本気を出せばアホ女なんざ敵じゃないさ」
じゃあなんで今まで本気を出さなかったんだ?とは聞いちゃいけません。
「じゃあなんで今まで本気出さなかったの?」
「……………」
「小西?」
「……能ある鷹は爪を隠すってやつだ」
「今の間はなんだよ?」
矢野がすかさず突っ込んだ。
「おっと、仕事を進めなくては。お前らもさっさと働けよ!今週末には学園祭が始まるんだからな!!」
不真面目な生徒会役員達に喝をいれ、俺は仕事に取りかかる。
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