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号令とともに、数人の男達が校舎の陰から走り出して来て、俺の腕をがっちりと拘束した。
その数、四人。
腕一本につき。
いくら俺でも、足腰の自由が利かない状態で八人もの男を振りほどく術は持ち合わせていなかった。
ちっ、エンペラーくんは俺をここに連れて来るための囮だったのというのか!
「くそ、お前ら何なんだ!?俺をどうする気だ!?」
よく見ると、俺を拘束しているのは全員知った顔だった。
うちのクラスの男子生徒共じゃないか。
それとその中に、野々村と矢野の姿もあった。
「昨日言ってたじゃん、会長。サプライズ企画第二弾だ。ちょっとの間だけ顔貸してもらうぜ。山崎、頼んだ!」
いや、俺は会長じゃなくてハヤ丸君だよ……なんて言う余裕もなく、俺は目を見開いた。
前を見ると、昨日プロレスで闘った筋肉の塊が、こちらへ歩いて来ていたからだ。
……あれ?もしかして、やられるのか俺?
「お、お前ら!こんなことしてどうなるかわかってんのか!ただじゃ済まないぞ!」
また一歩、こちらへ近づく山崎。
「俺は生徒会長だぞ!後が怖いんだぞ!」
もはやキツネの皮の存在を忘れるくらい、俺はテンパっていた。
だが、構わず筋肉の塊は前進する。
「わかった!お前達の要求を飲もう。何が望みだ?ある程度のことは生徒会長権限で何とかしてやるから!だから放してっ!」
無言のまま、俺を拘束する八人と二匹。
「悪いな、生徒会長さん。別に昨日の件を恨んでるってわけじゃないんだがな。俺ら、楽しいことが好きなんだわ」
山崎の言葉に頷く八人と二匹。
「んなこと言ったって!俺は全然楽しくないっての!」
山崎が剛腕を振り上げる。
「え、ちょ……マジ?だ、ダメだって、ソレはダメだってー!」
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