学園祭の闘い

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  ───── 「──幸人!起きろ!」 「う……んん……」 目を開けると、まず目に入ったのは輝く眼鏡フレームだった。 ああ、なんだ吉川か。 「よかった。無事に目覚めたな」 「……おはよ」 とりあえず、指をチョキに構え、それを吉川の目へと差し込んだ。 「……てっ、何すんだ!?眼鏡に指紋をつけるんじゃねぇ!」 チッ、これだから眼鏡っ子は。 「それで……ここはどこだ?」 あんなことがあったというのに、何故か俺は落ち着いていて、冷静に周りを見渡す余裕があった。 どうやらどこかの倉庫のようなところらしいな。 室内では吉川の他に、田中さんを含めたクラスの男女数人がこちらを見つめていた。 ニヤニヤと笑っている奴もいれば、呆然と俺の顔に見入っている奴もいる。 何なんだ?俺の顔がそんなにおかしいのか? 「可憐だ」 男子生徒の一人が呟いた。 「は?カレンダー?」 「幸人。とにかく今は時間が無い。驚かず、冷静に聞いてくれ」 吉川は唐突に俺の肩を掴み、今の状況を話し始めた。 「幸人、ここは講堂の中の倉庫だ。控え室はミスコンの参加者がいて使えないから、ここで準備を終えた」 講堂の中だったのか。 さすがにこんな部屋までは入ったことがなかった。 て……え、準備って? 「幸人言ってたよな、ミスコン参加者にうちのクラスの宣伝をしてもらいたいって。今回特別に、十六人目としてうちのクラスから参加できることになったんだ」 ほう、そうか。吉川がミスコン部と交渉してくれたのか。 さすがは副会長様だ。 「で、その参加者ってのは誰だ?田中さんか?」 「この人さ」 そう言って吉川は俺に手鏡を差し出した。 周りの生徒達は何故か噴き出したり笑いをこらえたりしている。 まさか……はは、まさかまさか。
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