A:folklore

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    書庫は暗く、埃と黴でかなり臭かった。 何年この書庫は使われていなかったのかわからないが埃は雪のように積もっており、僕は歩く度に咳が出そうになる。     「……ああ、あった。これだ、これ。」     僕は天まで届きそうなほど高く聳え立つ本棚からこれまた大きな脚立に登り、一冊の本を手に取る。       【記録:00】       黒い革製の滑らかな本の背表紙には金色の文字でそう記されていた。     「間違い無く、これだ。」     僕はそれを抜き取った棚を見る。 しかし【記録】の文字がある黒革製の本はこの一冊しか見当たらなかった。        
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